緩和ケア認定看護師
平成27年、緩和ケア認定看護師を取得しました。当院では、主に重症心身障がい児(者)の看護を行っています。入院期間も数年から数十年間に及ぶ重症心身障がい児(者)にとって、当院は生活の場でもあります。看取り場面もありますが、件数も年に1~2人と少ないです。そのため、看取りに向けて看護師の不安や戸惑いなど聞かれた際には、多職種もまじえてジョンセンの臨床倫理の4分割法を用いてカンファレンスを開催しています。昨年、終末期にある重心児の看取りについて、家族の意向や患者さんにとっての過ごし方を尊重した関わりやケアができるように介入しました。患者さんの状態の悪化時や看護師の中での戸惑いなど聞かれた際に、繰り返し病棟スタッフとカンファレンスを行うことで最期まで患者さんにとっての最善や家族の意向などを尊重した関わりについての検討することができました。看護師の価値観にとらわれずに、患者さんの言葉から患者さんの価値観や今までの過ごし方から現在の過ごし方についてアセスメントを行い、患者さんが自分の生をどのように捉え、どのような状態を望んでいるか、患者さん・ご家族と十分話しあえること・苦しみをもっている相手の傍にいることも大切にし、全人的苦痛の緩和やこれからの過ごし方について支援してきました。また、患者さんの状態は日々だけでなく時間単位でも変化していくことがあり、ご家族ができることを伝えたり、傍にいること、見守ることがケアに繋がっている事と共にご家族や患者さんの意思や思いの確認や支援を行い、過ごし方の検討からご家族に見守られながらの在宅での看取りなどにも繋げてきました。
現在は、昨年度にエンドオブライフケアチームがたちあがり、これまでの人生から、これからどうしたいかを実現するために、チームとしても「その人々の最善」のために多職種が共同連携しながら、患者様・ご家族様の最善に貢献する支援をできるように取り組んでいます。
特定行為研修修了者
私は、2021年に呼吸器関連3区分6行為の特定行為研修を修了し特定ケア看護師として活動を開始しました。現在は患者の気管カニューレの定期交換や人工呼吸器の設定について医師への相談、人工呼吸器の観察や看護や呼吸器関連を中心とした急変時の対応についての勉強会の実施など院内を横断的に活動しています。
具体的な活動の一例としては、胸水貯留・頻回肺炎の既往のある、長期にわたって呼吸器を使用している患者さんについて、呼吸器の設定を含めたケア全般の見直しについての介入を行いました。介入内容としては、PEEPの調整、PEEP解放を避けるため閉鎖式吸引の使用の提案、誤嚥予防として側臥位時間の延長の必要性の説明、排痰援助目的の車椅子移乗時間の確保です。病棟スタッフとカンファレンスを行い、病棟が実施可能な範囲で看護計画を改善した結果、胸水の減少や肺炎回数の減少などがみられ、呼吸状態の改善に繋がりました。
また、昨年からは近隣の自治体との連携として訪問看護ステーションのスタッフへの講義や技術研修への参加、通所施設への訪問を行い、地域の包括的な支援にも活動の幅を広げつつあります。重心看護は在宅領域に移行していっており、医療的ケア児が学校現場で授業を受ける体制づくりが求められています。重心医療を専門としたあおの病院で培った経験や特定ケア看護師としての専門的な知識を在宅医療に関わる医療職者に提供することで、地域の現場での重心看護に貢献していければと考えています。
重心看護の中でも呼吸管理は患者さんの生命予後を左右する重要な領域です。患者さんが安心・安楽な生活がおくれるよう是非一緒に取り組んでいきましょう。
療養介助専門員
兵庫あおの病院に入職して十五年目を迎えました。
入職したばかりの頃は、患者さんとどのような関わり方をしたらいいのか、また自分の訴えが困難な方に対するコミュニケーションの取り方や気持ちを察する事の難しさに困難を感じていました。しかし、同僚や看護師との連携、多職種からのサポートがあり今は患者さんの少しの変化に気付くことができるようになりました。患者さん一人一人個性があり、表情や声・体の動きなどいろんな形で気持ちを表してくれます。その気持ちを考え、お互いが笑顔になれた瞬間はとても心が温かく嬉しくなります。これからも、患者さん一人一人の個性を尊重し、信頼できる職員と共に安心して生活できる環境を提供できるように努めていきたいと思います。
人のお世話をする仕事がしたいと思い療養介助専門員を目指しました。10年ほど前に障がい児(者)の支援がしたいと思い当院に入職しました。当院が、初めての重症心身障がい児(者)の介護でしたが、1人1人違う障害などが見られる中で個々に応じたできることを維持するなどの生活を支えることに魅力を感じることができました。
また、今は呼吸器管理の多い病棟の中で、意思疎通は困難な患者さんが多い中でも、1人1人寄り添い本の読み聞かせや離床活動などを通して関わることで、小さな表情の変化にも気づくことができ、それが自分自身の介護の振り返りにも繋がっています。そして、医療関連の介護も身に付けることができ、多職種と共に連携して介護をする必要性を感じることができました。
ACTyレベルⅡ
西3病棟には人工呼吸器を使用している患者様が多く入院されています。言語的コミュニケーションをとることが困難なため、バイタルサインや表情などの細やかな変化を読み取ることが重要となります。1年目の時は患者様の変化に気づくことが難しく、先輩方からアドバイスをしていただきながら関わっていましたが、日々観察することで、今患者様が何を伝えているのかを少しずつくみ取ることができるようになってきました。今後も患者様の変化に気づき、その患者様にとってより良い看護を提供できるよう心がけていきたいと思います。病棟では倫理的問題についてスタッフで話し合い、より患者様が気持ちよく過ごしてもらえるように看護の質を上げる努力をしています。
ACTyレベルⅢ
私は、看護師として働き始めて3年目になります。働き始めた当初は、患者さんとのコミュニケーションの難しさ、関わり方に悩むこともありました。重症心身障がい児の多くは、自分の気持ちを表現するのが難しく、そのため、表情や行動、バイタルサインなどの変化に気付くことが大切です。私の受け持った患者さんは、いつも下肢の冷感があり険しい顔をし、体動が激しく落ち着かない患者さんでした。私は下肢の冷感による苦痛の緩和のために温罨法を実施することで安楽に過ごせ、笑顔が見られないかと考えました。温罨法を実施した結果、表情が良くなり、体動も落ち着き気持ちよさそうにする姿が見られました。今までは険しい顔が普通だと思っていましたが、険しい顔の原因を考え看護を提供することでそうではなかった事に気づくことができました。
この3年間で徐々にではありますが、患者さんの気持ちを読み取れるようになり、看護の楽しさ・やりがいを感じています。これからも患者さんに、今一番必要なケアを提供できるよう看護の専門性を深め、頑張っていこうと思います。
ACTyレベルⅣ
私は、重症心身障害がい者病棟で働いています。患者さんの多くが、身体の変形、拘縮があり、言語でのコミュニケーションを取るのが難しいです。そのため、バイタルサインや表情などの変化、患者さんの状態から患者さんが何を感じているのか、どうすれば楽しく元気に過ごしてもらう事ができるのかを考えながら日々接しています。患者さんが嘔吐する事が多くなった時には、チーム内でカンファレンスを行い、医師や栄養士に相談し、食事内容の調整を行うと嘔吐をする事がほとんどなくなりました。このように、患者さんにとって今一番必要なケアや医療が提供できるように、先輩に相談し、カンファレンスを行い、チームのメンバーや多職種と共に考え、ケアを行っていく事が私のやりがいに繋がっています。これからも日々感じる事を大切にして働いていきたいと思います。
ACTyレベルⅤ
私は重症心身障がい児(者)で勤務して5年目になります。日常生活援助が主となる病棟ですが、患者さんによって何をどこまで援助するかは様々です。話せなくても自力で食事摂取ができる人、体がうまく動かせなくても話すことが好きな人、長期入所し高齢化が進んでいる中で、その人がより良い生活を送れるように、何が必要なのか、どういう危険があるのか、その人に応じた看護を考えることは難しいですがとてもやりがいを感じます。看護師は患者さんと関わる時間が一番長いため、患者さん自身で上手く伝えられないことをくみ取り、必要なことは何か、場合によっては多職種を巻き込んで1人の患者さんにじっくり対応していくことが出来るのは重心看護特有であると思います。ラダーでは5年目になり、先輩看護師に助言を頂きながら日々のリーダーやチームのサブリーダーを通してリーダーシップの重要性や難しさを実感しています。また看護研究に取り組んでおり、不安もありましたがテーマを考える際に先輩看護師が相談に乗ってくださり、計画書作成も段階を踏んで講習があり、支援者である病棟の先輩から助言をいただきながら進めることができています。
ジェネラリスト
西1病棟へ入職し7年目になりました。
当院は1年目から5年目はラダーレベル別研修があり、しっかりと基礎から学ぶことが出来ます。後輩が分からない事は、一緒に考えながら指導するよう心掛けています。
当院はレベル研修終了後も様々な研修の機会があります。私は実習指導者講習会を受講し学生指導に携わるようになりました。学生指導を通して学生とともに自分自身の成長できる機会となっています。
西1病棟は一般病棟で、終末期・回復期など混合病棟ですが、1人1人とゆっくり関わり合えるため、患者さんに寄り添った看護ができます。
病棟内の雰囲気も良く、日々助け合いながら患者さんに向き合い、個別性のある看護を行っていけるよう心掛けています。
患者さんの個別性のある看護を行っていくために、自部署で定期的にカンファレンスを開催し、日々の看護計画の評価を行ったり、必要に応じて多職種カンファレンスを開催しチーム全体で患者さんに合った目標を定めていったりしています。
大変な事もありますが、患者さんやご家族からの「ありがとう」の言葉や笑顔にやりがいを感じています。